志望動機は”過去” “現在” “未来” に軸を通す

2021.10.10 キャリアのルールと考え方
Contract business image

今回は、転職活動における面接対策について詳しく見ていきたいと思います。
面接においては、見た目や話し方など印象面に気を配ることはもちろんですが、内容についての十分な準備をすることが、志望する企業から内定をもらうための大事な要素です。
また、面接対策は志望動機の整理や将来像の明確化が必要になるため、丁寧に進めていくことをお勧めします。
この記事では、面接対策において押さえておきたいポイントを少し詳しく見ていきます。

なお、転職・転職活動の全体像をご覧になりたい方は、以下の記事をご覧ください。

「転職活動」と「転職」の手順

企業にとっての面接の目的

面接対策に入る前に、企業にとっての面接の目的を考えてみます。基本的なことですが、その意味合いを意識することはとても大切なことです。

企業にとっての面接の目的は、「転職者が採用に値する方かどうか見極める」「採用したい方に対して自社や部門、当該ポジションの理解を促進する」という2つがあります。対策という観点で特に大切なのは前者で「どのような方が採用に値するのか」を理解する必要がありますが、特に重要なのは「人柄」「考え方・マインド」「経験・スキル」「志向性」の4点です。(事業会社の場合は、「ビジョンへの共感」という5点目も非常に重要です。) これらを念頭に置いた際に、「その企業/部門/ポジションで、その方が明確に活躍するイメージが沸く」と思ってもらうことが重要で、そう思わせるための準備が重要になります。

面接の一般的なフロー

企業やポジション毎に異なりますが、2~3回の面接を経て合否を確定するというものが一般的なフローに当たります。特徴としては、1次面接よりも2次面接、2次面接よりも最終面接の方が面接官のレイヤーが上がっていく傾向にあることで、カウンターパートが上がることを抑えた志望動機や深い理解が必要になることを覚えておくと良いでしょう。

また企業によっては第三者(現職の上司や同僚)に依頼して客観的な人柄や働きぶりを理解するためのリファレンスチェックや、犯罪歴や経歴詐称の確認のためのバックグラウンドチェックを導入する企業も増えていますので、応募企業の選考フローは確認しておく必要があります。

面接対策のための整理

想定される質問に対する個別具体的な回答を考える前に、まずは、ご自身の過去、現在、未来について整理することをお勧めします。これらの整理をすることで、質問に対する一貫性を持った回答が出来ることに繋がります。
質問に対して一問一答形式で考える方もいらっしゃいますが、一貫性がなくなってしまっていることが多いので注意が必要です。

過去についての整理

まずは、過去について整理します。
ここでは代表的なものを例示しますが、どの程度の過去まで整理する必要があるかは選考を受ける企業によって異なりますので、少なくとも履歴書に書く中学時代以降については整理しておいた方がいいと思います。

・大学を選んだ理由

目につく動き(留年や編入など)をしていなければ、深く質問を受けることはないでしょうが、他の整理と矛盾がないかの確認は必要です。例えば、志望動機が「昔からITに興味があり、ITに関連した仕事をしたいと強く思っていた」のようなものにも関わらず、文学部卒業だと一貫性は弱くなってしまいます。また、偏差値が高いから選んだ、周りの人が行っていたから、などの理由を答えてしまうと自身でしっかりと考えていないという印象を与えてしまうので注意が必要です。

深堀を大切にする企業では、小学校時代にまで遡って人柄や熱中したこととその理由等の、根本的なパーソナリティについても聞かれる場合があります。こちらも他の整理と矛盾しないように準備をしておくと良いと思います。

・現職(前職)を選んだ理由
今の会社が新卒一社目の方は就職活動のときの軸を、二社目以降の方はそれに加えて転職をした時の軸を改めて整理します。今の転職活動の志望動機との一貫性が大切ですので、その点は気を付けていただければと思います(志望動機の整理は、またのちほどします)。
例えば、SIerが一社目かつ現職で、二社目にITコンサルタントを志望し、面接の場で「なぜ現職から弊社に転職されたいんですか?」と質問をされたとします。
そのとき、「ITの技術を身に着けたくて現職を選びました。今度はビジネスの観点を身に着けるために貴社を志望しました。」というのは、論理的に飛躍しており一貫性が感じられません。その一方で、「ITを軸に他者をサポートしたいと思い現職を選びました。今後は、ITを軸にしながらも、より上流から支援し、よりお客様に高い価値を提供したく、貴社を志望しました。」であれば、先ほどの例よりは一貫性が感じられるかと思います。

・現職(前職)の成果
業務内容と成果、その中での工夫や、成果を出すうえでの困難をどう乗り越えたかをまとめます。できるだけ具体的にまとめてください。ここでは、主体的かつ具体的な行動ベースであることが求められます。
特に、具体的な行動ベースであることは多くの方が見落としがちですので注意を払っていただければと思います。例えば「顧客に注意深くヒアリングして提案した。」は抽象的なためあまり良くなく、「顧客に対するヒアリングシートを作成し、漏れがないように網羅的に聞き、さらにアポ前に過去の提案も参考にしながら、仮説を3つ以上準備して臨んでいた。」のようにできるだけ具体的な行動するイメージです。

現在・未来についての整理

現在と未来は明確に区切れないため一緒に考えていく方が整理しやすいかと思います。

・転職理由の整理

前述の現職(前職)を選んだ理由と整合性を保てるような内容を整理します。 加えて、他責や環境責になっていないか、自身の意図とは異なりそのように受け取られる可能性が無いか等の細かな部分まで気を配ります。

・志望動機の整理
なぜ、その業界なのか、なぜその企業なのか、を整理します。
これについては、以下の記事が参考になると思うので気になる方はご覧下さい。

・キャリアパスの整理

5~10年後等のスパンで何をやりたいか、もしくはどうなっていたいかを整理した上で、そこに至るまでのジャーニーを整理します。

応募職種に対して自身が未経験なのであれば、足元の数年は今までの経験を最大限活かした企業側への貢献という目線と、早期にランディングして必要なスキルをキャッチアップする姿勢を持つことが大事です。

更には、具体的にどのように長期での理想に近づくか、納得感を持って話せるようにする必要があります。憧れだけではなく案件の性質や得られる経験を理解した上で、論理の飛躍なくストーリーを構築することを意識しましょう。(例えば、コンサルファームであればHP等のPJ事例を参照し、現状の自分が参画した際に何を活かすことが出来て、何が足りないのかを経験を踏まえて説明できるようにしておくとよいでしょう。)

印象面での注意

・癖
緊張すると癖が出やすくなる方がいらっしゃいます。例えば、ボールペンでコツコツと机をつついてしまったり、ペン回しをしてしまったりする方もいらっしゃいます。また、相槌が独特な方も注意してください。特に、「あー、はいはい」などの知ったかぶりな相槌や、相手が話し終わる前に食い気味にする相槌はあまり好まれないので注意した方が良いポイントです。

・見た目
見た目はできるだけ、爽やかで明るくします。また、服装も見られていますので、そこにも注意を払っていただければと思います。このあたりについては、以下のチェックリストを参考にしてください。

-髪の毛(整えられており長さも適切 等)

-血色(不健康に見えづらい 等)

-服装(ジャケット着用、ネクタイやシャツが華美でない、サイズ感の違和感がない 等)

-爪(伸びていない)

-靴(ベルトと同色、手入れがされている 等)

-鞄(リュックサックは控える 等)

・WEB会議の環境整理

昨今ではWEBでの面接が標準化されている関係で、ネットワークが快適か、カメラやマイクが問題なく使えるか、周囲の雑音を拾っていないか、照明、カメラの角度、背景は適切か、等にも気を付ける必要があります。

・受付への挨拶・愛想
細かい話かもしれませんが、受付の方への挨拶などの対応も注意が必要です。
受付の方が受けた転職者の印象は面接官に伝わることも多々ありますので、面接官だけでなく、受付や社員の方々にも良い印象が与えられるとより良いと思います。

今回は面接におけるポイントをまとめさせていただきました。面接対策として、過去や未来について整理をすることは少し時間がかかるため大変なことかと思います。しかし、その整理をすることで、面接だけでなく、キャリア自体も明確になっていくので、向かいたい方向に真っ直ぐ進むことができ、入社後のパフォーマンスも上がると思います。
この機会がキャリア形成の一助となれば幸いです。

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