自分に合ったコンサルティングファームはどこか?

2025.07.01 コンサル業界でのキャリア

コンサルティングファームといえば「激務」「優秀な人が多い」「戦略だけで終わる」といったイメージを持たれることが多いかもしれません。
また、転職希望者の方々からも「仕事内容がわかりにくい」「ファームごとの違いが見えにくい」という声をよく聞きます。

実際には、各ファームの文化や支援スタイルには明確な違いがあり、最近ではワークライフバランスの改善やダイバーシティの推進に積極的なファームも増えてきています
例えばPwCやデロイトなどのBIG4は、グローバル企業としての制度整備が進んでおり、リモート勤務や柔軟な働き方を可能にする仕組みを積極的に導入しています。

また、各ファームの支援内容も「戦略だけ」ではなく、DX(デジタルトランスフォーメーション)やAX(AIトランスフォーメーション)など、テクノロジーを核とした変革支援が中心になりつつあります。今回は、そうした変化を踏まえつつ、「自分に合ったファームはどこか?」を考える材料として、仕事内容の概要と各社の特色を最新の視点でお伝えします。
ファームごとの価値観や働き方を知ることで、ご自身のキャリア選択のヒントになれば幸いです。

コンサルティング業界の仕事内容

コンサルタントの仕事は一般に「クライアント企業の課題解決」と言われますが、より具体的には、事業会社の部長や役員といった経営層に対して、戦略提言や組織変革の方向性を示し、ときには実行段階まで伴走する仕事です。

コンサルティングファームが提供するソリューションは、大きく以下の3つの領域に分けられます。1つ目は戦略領域、2つ目は業務領域、3つ目はIT・デジタル領域です。
近年ではDX(デジタルトランスフォーメーション)やAX(AIトランスフォーメーション)のニーズが急増しており、テクノロジーを起点とした変革支援が全領域にまたがって展開されるようになっています。

チーム制におけるアサインイメージ

戦略領域

企業の中長期的な方向性や事業構想を描く領域です。主なテーマには以下があります。

・中期経営計画の策定

・事業ポートフォリオの再構築、新規事業開発

・M&A戦略やPMI(統合プロセス)支援

・海外進出戦略、撤退戦略

・デジタル戦略・AI戦略の構築(生成AIやメタバースの活用方針など)

従来の「青写真を描く」だけでなく、施策をいかに現場で動かすかまでを視野に入れた、実行を前提とした戦略立案が主流になっています。

業務領域

企業の“仕組み”そのもの──すなわちオペレーションや組織構造を変革する支援で、代表的なテーマは以下のとおりです。

・BPR(業務プロセス改革)やサプライチェーンの再設計

・固定費削減やコスト構造の見直し

・働き方改革、組織戦略、人員再配置

・AX(AIトランスフォーメーション)による業務の高度自動化・判断支援
 例)AIによる需要予測、AI-OCRによる書類処理、自然言語処理によるFAQ対応

AXの取り組みでは、「効率化」だけでなく、人間の意思決定をAIで支えるような高度な仕組み作りがコンサルの役割として求められるようになっています。

IT・テクノロジー領域

IITを活用してビジネス課題を解決する領域です。戦略・業務と密接に関係し、融合領域が増えています。具体的には以下のようなテーマが含まれます。

・IT中期計画や全社ITグランドデザインの策定

・ERPや業務システムの導入支援・PMO業務

・サイバーセキュリティ対策やゼロトラスト導入

・生成AI、IoT、ブロックチェーンなどの先端技術を活用した事業変革

たとえば、あるファームではAIによる事業診断レポートの自動生成を支援したり、自治体向けのスマートシティ構想の伴走を行ったりと、業界・分野を問わず広範な支援を行っています。

このようにコンサルティング業界では、戦略・業務・ITという枠を超え、テクノロジーと経営、そして人の変革をつなぐ“橋渡し”の役割がより一層重要になってきています。

各コンサルティングファームの特色

コンサルティング業界マップ

コンサルティングファームの仕事内容をご紹介しました。ここからは、それぞれのファームの特色みていきたいと思います。
コンサルティングファームは、戦略ファームと総合系ファーム、シンクタンク系に大きく分けられますので、それぞれについてみていきます。

戦略ファーム

戦略ファームは、企業の成長戦略や事業ポートフォリオの見直し、新規事業開発などを主領域とするコンサルティングファームです。
かつては「戦略の青写真」を描くことが中心でしたが、現在では業務やIT領域まで含めて“戦略をどう実行・定着させるか”まで支援するファームが主流になりつつあります。

代表的なファームとしては、いわゆるBIG3と呼ばれるマッキンゼー・アンド・カンパニー、ボストン コンサルティング グループ(BCG)、ベイン・アンド・カンパニーが挙げられます。
これに加え、Kearney(旧A.T.カーニー)やローランド・ベルガー、新規事業・政策領域で独自性を発揮するドリームインキュベータなども、国内外で存在感を放つ戦略ファームです。

マッキンゼー・アンド・カンパニー

マッキンゼーは、いわゆる戦略ファームの中でも“王道”とされる存在であり、特にファクトベースと構造的思考を徹底するアプローチで知られています。日本でも大手企業の経営層と直結した案件が多く、少人数で経営レベルの意思決定に深く関与する経験を積める点が最大の魅力です。

案件の8割以上は戦略領域および業務改革領域で構成されており、入社後は原則としてどちらか、あるいは両方に関与することになります。IT領域の案件も2割程度存在しますが、いわゆる開発や運用支援といった下流工程は原則担当せず、IT戦略やデジタル組織の立ち上げといった上流フェーズに特化しています。

また、近年ではMcKinsey DigitalやQuantumBlackといった専門組織が強化されており、AIやデータサイエンス、テック導入支援の色合いが年々濃くなっている印象です。ただし、全体のスタンスとしてはあくまで「戦略起点」であることが基本で、テクノロジーも“手段”として位置づけられています。

社内は非常にフラットな文化で、年次に関係なく議論や意思決定の場に参加することが求められます。その一方で、アウトプットの質に対する要求水準は高く、構造化された思考や資料作成に対しては、かなり緻密なフィードバックが入ります。グローバルとの連携も活発で、海外オフィスとの共同プロジェクトも珍しくなく、入社初期から英語での読み書き・会話が当たり前の環境です。

実力・ブランドともにトップレベルですので、世界最高峰の頭脳集団の中で、自分の力を試したいという方にマッチするファームかと思います。

ボストン・コンサルティング・グループ

BCGは、マッキンゼーと並ぶ世界トップクラスの戦略ファームでありながら、クライアント企業との“共創”を重視する柔軟なアプローチが特徴です。東京オフィスも700名規模と戦略ファームとしては大きく、案件規模や業界の幅も広がってきています。

支援内容は戦略領域が主軸であるものの、業務改革や組織変革まで踏み込むプロジェクトが多く、いわゆる“ピュア戦略”に限定されたファームではありません。特に近年はDigitalBCGやBCG Xの立ち上げにより、デジタル戦略・AI導入・アジャイル組織構築といったテーマが急増しており、テクノロジー領域の案件もかなりの比重を占めるようになっています。

ただし、BCGの支援スタイルは他ファームと一線を画します。たとえば、フレームワークに沿って解くというよりも、クライアントの現場と一緒にゼロから考え抜く“オーダーメイド型の問題解決”が基本であり、思考の柔軟性や現場感覚が問われる場面が多いです。そのため、コンサルタントにも“型”よりも“構想力と実装力の両立”が求められます。

また、クライアントのボードメンバーとの直接的なやり取りが発生することも多く、企業の重要な経営判断に深く関与するケースが一般的です。一方で、プレゼンで押し切るというより、クライアントを巻き込んだ合意形成や納得感の醸成に長けている印象もあります。これは特に国内案件において顕著で、BCGの日本支社は“現場を動かすこと”に強くこだわる傾向があります。

海外案件の比率はマッキンゼーに比べるとやや少なめで、日本企業向けの国内支援が多いのも特徴です。その分、言語や文化的な背景を踏まえた提案や調整が強く求められ、日本でコンサルとしての地力をつけたい方にとっては非常に良い土壌だと思います。

ベイン・アンド・カンパニー

ベイン・アンド・カンパニーは、「成果を出すこと」にとことんこだわるファームです。戦略ファームに分類されますが、提言だけで終わらせず、実行支援や現場浸透まで踏み込む姿勢が文化として根づいています。少数精鋭を貫いており、一人あたりの責任範囲が広く、早い段階から意思決定者と向き合う経験が得られるのもベインならではです。

プロジェクトは、戦略立案やM&A、PEファンド支援など経営に直結するテーマが多く、特にPEファンドにおける投資先のバリューアップ支援には強みを持っています。業務改革やIT導入支援といった領域はあまり多くなく、逆に言えば、「手触り感のある戦略コンサルをやりたい」という人には非常にフィットする環境です。

クライアントには上場大企業だけでなく、スタートアップや海外企業も含まれており、業界・規模問わず本質的な課題解決に向き合える場面が多いのも魅力です。

育成スタイルは非常に丁寧で、1on1やメンター制度、プロジェクト外でのサポートも手厚く、「ちゃんと育ててもらえる」という安心感があります。一方で、成果に対するコミットメントは極めて高く、アウトプットの質やスピード、クライアントとの信頼構築に対して妥協は許されません。

「戦略ファームでありながら、実行にも踏み込んで成長したい」「PE投資やM&Aに関わってみたい」「少人数で濃い経験を積みたい」と考える方にとって、ベインは非常に濃密な環境になると思います。

Kearney(旧A.T.カーニー)

Kearneyは、もともとオペレーション改革に強みを持つファームで、「目に見える成果(Tangible Results)」を重視する実行志向の文化が特徴です。戦略ファームに分類されつつも、いわゆるピュア戦略よりも、コスト削減や業務最適化、SCM(サプライチェーン・マネジメント)領域など、より“手触り感のある変革”を好むファームです。

プロジェクトでは、製造業や消費財を中心に、コスト構造の見直しやサプライチェーン再編など、現場に深く入り込むスタイルが一般的です。経営陣と机上で戦略を練るだけでなく、工場や店舗の現場を見に行き、オペレーションのリアルを踏まえたうえで課題を特定し、具体的な改善プランを設計します。数字に強く、ファクトと現場を重ねて語れる人材が重宝される傾向があります。社風はやや職人肌で、自己完結力が高い人が好まれます。育成はOJT中心ですが、手厚くフォローされるというより、早くから“プロとして扱われる”緊張感の中で成長していくスタイルです。チームは少人数で、少しでも気を抜くと成果に直結するため、自律性のある方や、実行フェーズでの腕試しをしたい方には強くフィットするファームです。

ローランド・ベルガー(Roland Berger)

ローランド・ベルガーは、ドイツ・ミュンヘン発の戦略ファームであり、欧州系ならではの実直で泥臭いコンサルティングスタイルが特徴です。日本オフィスもその文化を強く継承しており、特に製造業、なかでも自動車・重工業・素材といった分野でのプロジェクトが多く、現場密着型の支援が得意なファームです。

案件の中心はあくまで戦略領域にありますが、単なる方向性の提言にとどまらず、「どう実現するか」を考えるところまで深く入り込むのがこのファームのスタンスです。たとえば、サプライチェーン再構築や事業ポートフォリオ再編といったテーマであっても、数字だけでなく現場感や業界特性を踏まえた設計が求められます。製造業の工程や構造に詳しい人、あるいは現場と対話できる目線を持つ人がフィットしやすい傾向があります。

IT領域の比率は3割程度で、特に製造業のDX推進やスマートファクトリー構想など、戦略とテクノロジーが融合する分野での支援が増えています。ただし、IT導入そのものではなく、ITをどう活かしてビジネス構造を変革するか、という“上流の問い”が中心です。

社風としては“現場主義”が根づいており、クライアントの社員と一体となって動くことが求められます。言い換えれば、スマートな提案よりも、実行まで伴走する「地に足のついたコンサル」が評価される環境です。また、外資系の中では比較的ローカル裁量が大きく、日本オフィス独自で中堅企業向け案件などにも取り組んでおり、大企業の経営戦略と中堅企業の事業再構築の両方に携われる機会があります。

「製造業や現場のリアルに根ざしたコンサルをしたい」「派手さよりも実効性にこだわりたい」そんな価値観を持つ方にとっては、非常に相性の良いファームです。

ドリームインキュベータ(Dream Incubator)

ドリームインキュベータ(DI)は、2000年に日本で創業された戦略ファームで、日本発ならではの視点と、社会全体を巻き込むような大局的なテーマを扱うスタンスが大きな特徴です。大企業の成長戦略支援にとどまらず、産業政策・官民連携・スタートアップ育成・自社での出資や事業立ち上げまで手がける、「事業創造ファーム」としての独自のポジションを築いています。

プロジェクトテーマは、事業戦略、新規事業開発、社会システム設計、産業構造の再設計など多岐にわたります。特に、官公庁や自治体と協働して制度設計や政策提言に取り組む機会も多く、民間と公共、マクロとミクロを横断するテーマを扱う点で、他ファームとは明確に異なります。

また、DIは自社でベンチャーファンドを運営し、スタートアップへの出資や経営支援にも積極的に関与しています。戦略立案にとどまらず、「提案+投資+実行」まで一貫して関与する三位一体のアプローチは、外資系ファームとは一線を画する特徴です。

組織は少数精鋭で、個々の自律性とオーナーシップが強く求められます。若手のうちから幅広い業界や社会テーマに挑戦することができ、自ら価値を定義し、関係者を巻き込むことに面白みを感じる方には、非常に刺激的な環境になるでしょう。「日本発の戦略ファームで、社会を動かすようなテーマに挑みたい」という方にとって、DIは数少ないリアルな選択肢です。

総合系ファーム

総合系ファームは、戦略だけでなく、業務・IT・リスク・人事・ファイナンスといった広範なテーマに対応できることが特徴です。戦略ファームが「問いの抽出と方向性の提示」に強いとすれば、総合系ファームは「全体最適を見据えた変革の実行力」に強みがあります。グローバルネットワークや多様な専門家との連携を背景に、複雑な課題を“構想から実装まで”一気通貫で支援できる体制が整っています。

また、多くの総合系ファームでは、チーム制という人事制度をとっています。戦略・業務・ITの領域別(ソリューションカット)のチームか、業界別(インダストリーカット)のチームのいずれかに所属することとなります。例えば、小売企業システム導入プロジェクトであれば、ITチームのメンバーと、小売業界チームのメンバーがアサインしてプロジェクトを進めていくことになります。ただし、戦略領域に関しては、戦略チームだけで行っていく傾向が強いことには注意が必要です。

デロイト トーマツ コンサルティング

Deloitte Touche Tohmatsu(世界150カ国以上に40万人超が在籍)のグループメンバーであり、監査法人トーマツをバックボーンに持つファームです。
戦略・業務・ITと幅広い領域をカバーしながら、特に業務改革やSCM改革といったオペレーション変革領域に強みを持っており、公共・ヘルスケア・エネルギー・インフラなど、社会インフラを支えるテーマでの支援実績も豊富です。

グローバルでは財務アドバイザリー、税理士法人、法律事務所などを含む巨大な専門家ネットワークがあり、それらの知見を統合したクロスボーダー支援も可能です。BIG4の中でも日本における歴史が最も古く、組織としての安定感・育成体制の厚みがある点も特徴です。

また、代表の長川さん・神山さんとお話をした際に特に印象的だったのは、「過去の成功体験をただ守るのではなく、必要な見直しや変革を恐れない」という組織スタンスでした。
実際に、近年ではIT・デジタル領域の体制強化も急速に進めており、IT戦略、システム刷新、スマートシティ構想といったテーマでも存在感を高めています。

戦略や業務領域を起点にコンサルティングに取り組みたい方はもちろん、公共性の高い領域で“社会全体の構造を変えるような支援”をしたい方にも、非常にマッチしやすいファームだと感じます。

代表の長川知太郎さん、神山友佑さんとの対談は以下からご覧いただけます。

https://diamond.jp/articles/-/363341

PwCコンサルティング

PwCグループ(世界157カ国に32万人以上が在籍)のグループメンバーであり、日本ではPwCあらた有限責任監査法人をバックボーンにもちます。


他のBIG4と同様に戦略・業務・ITと幅広く手掛けていますが、2020年にはTechnology Laboratoryを開設し、メタバース、AI、クラウド基盤といった先端領域への取り組みを加速させています。とくに地方自治体との協業には実績が多く、「Digital Government Anywhere Talent」のような仕組みを通じて、行政のDX化を制度・運用の両面から支援するモデルを展開しています。

また、AI・BPO・SIerとの連携といったコンサルティング経営のポートフォリオ設計に対しても、非常に柔軟かつ現実的で、成果報酬型のモデルへのチャレンジや、従来の枠にとらわれないビジネス再定義にも積極的です。

PwCは「PwCがやるべきか(例えば、社会的インパクトはあるか)」を大切にしています。ロジックや効率性を重んじつつも、“らしさ”という情緒的な感性を経営や現場の判断軸として大切にしています。

現場でも、一人ひとりの価値観やスタイルに対する理解が深く、「個の尊重」と「変化への柔軟さ」が共存しています。しっかりとした軸を持ちながら、新しい挑戦を歓迎するこの環境は、「変化の中で自分の専門性や価値をアップデートしていきたい」と考える方にとって、非常に相性の良い場所と言えるでしょう。

CEO安井正樹さんとの対談は以下からご覧いただけます。

https://diamond.jp/articles/-/361460

KPMGコンサルティング

KPMGインターナショナル(世界152カ国に約27万人が在籍)のメンバーファームであり、日本では有限責任あずさ監査法人をバックボーンにもつファームです。リスクマネジメントや内部統制といった“守り”の領域に強みを持ちつつ、AI・RPA・クラウド活用による業務効率化や、金融・製造・エネルギー業界におけるデジタル改革支援を行っています。

加えて、守りのイメージとは相反しますが、宇宙ビジネスやeスポーツといったニッチかつ先端的な分野にも力を入れています。
挑戦を歓迎するファームですので、自分でオファリングを作りたいという方にもチャンスが広がっています。

社内カルチャーもユニークで、たとえば、私も出演させていただいた代表主催の社内向けラジオ番組など、制度の柔らかさと人間味のあるコミュニケーションが魅力的です。みんなでファームをつくっていこうという“ファミリー感”が自然と根づいています。

目の前の数字だけでなく、中長期的なクライアントとのリレーションも大切にする文化ですので「目の前の支援により集中したい」という人にもフィットするファームです。

当時CEO(現在は会長)宮原正弘さんとの対談は以下からご覧いただけます。

https://diamond.jp/articles/-/352480

EYアドバイザリー・アンド・コンサルティング

EYグループは、世界150カ国以上に40万人超のプロフェッショナルを擁するグローバルネットワークです。その日本におけるグループメンバーの一つであるEYストラテジー・アンド・コンサルティング(EYSC)は、EY新日本有限責任監査法人をバックボーンに持ち、EYは他に先んじてパーパスを掲げたファームであり、そのパーパスは、“Building a better working world(より良い社会の構築を目指して)”。

近年、EYSCでは「プロジェクトドラゴン」を通じて、このパーパスに経済合理性を持たせたことで、実際の事業成長に大きくつながったと感じます。パーパスに基づく戦略を再定義し、実行可能なアクションにまで落とし込んだことで、EYSCならではの独自性が際立ってきました。特に自動車、ハイテク、ライフサイエンス業界では実績が急拡大し、BIG4の中でも戦略性と実行力を兼ね備えたファームとして注目されています。

そして、何よりこのファームが大切にしているのが、「プロフェッショナルであること」。単に仕事をこなすのではなく、自身の専門性を磨き、クライアントの本質課題に真摯に向き合いたいという強い意志を持った人にとって、EYSCは非常に魅力的な環境です。
特に「自分の軸を持って成長したい」「理想と現実のバランスを取りながら価値を出したい」という方には、フィットするファームだと感じます。

代表の近藤聡さんとの対談は以下からご覧いただけます。

https://diamond.jp/articles/-/352459

アクセンチュア

アクセンチュアは、世界120カ国以上で事業を展開し、スタッフ数はグローバルで70万人超、日本法人だけでも約2万人と、世界最大規模の総合系コンサルティングファームです。

業務改革アウトソーシング(BTO)に強みを持っており、コンサルティングファームの新しい形として高く評価されています。特に、大規模なIT開発運用部隊を有していることもあり、ITソリューションが強いことが特徴的です。

グローバル案件への関与機会も豊富です。組織規模が大きいため、個の力だけで勝負するというよりは、巨大な組織の中で自分の強みを見つけ、ポジションを築いていく感覚に近いです。

「ITバックグラウンドを活かしたい」「戦略〜実装まで大規模に関わりたい」「グローバルで勝負したい」といった志向の方にとっては、多様な機会が得られるファームです。

ベイカレント・コンサルティング

ベイカレント・コンサルティングは、日本発の総合系コンサルティングファームとして、戦略・業務・ITといった幅広い領域に対応し、ここ数年で急成長を遂げ、慶應義塾大学の2024年度就職先ランキングで1位にもなった、注目のファームです。

2017年2月期に171億円だった売上収益は、2025年2月期には1,160億円に達し、わずか8年で約7倍、従業員数も同期間で5倍以上に増加しています。

この成長を支えているのが、“ワンプール制”という独自の人事制度です。ソリューションや業界の枠に縛られることなく、プロジェクト単位で柔軟にアサインされるため、ある時は金融のIT案件、またある時は製造業の戦略案件というように、多様な経験を短期間で積むことが可能です。自分の専門性や得意領域を見極めながらキャリアを形成できる、実践的な環境が整っています。

2024年9月1日付で持株会社体制への移行を実施し、「株式会社ベイカレント・コンサルティング」と、ITサービス事業を担う「株式会社ベイカレント・テクノロジー」の2社体制とすることで、コンサルティングとIT実装の両面からクライアントの課題解決を図る体制を強化しています。デジタル領域への投資や先端技術の活用に注力し、エンジニア出身のコンサルタントが多数活躍しているのも特徴です。

スピード感のある環境で多様な経験を積みたい方、自分の可能性を試しながらキャリアの幅を広げていきたい方にとって、ベイカレントは非常に魅力的な選択肢です。

シグマクシス

シグマクシスは、2008年に三菱商事グループを母体として設立された、日本発のコンサルティングファームです。現在は独立企業として上場を果たし、コンサルティングのみならず、自社で事業投資・アライアンスを行う“共創型”のビジネスモデルを展開しています。

特に注目すべきは、新規事業の構想・設計・立ち上げまでを一気通貫で支援できる体制があることです。クライアントとともに実際に事業会社を設立したり、JV(ジョイントベンチャー)を組成したりといった、実業のど真ん中に入っていくケースも珍しくありません。

また、クライアントとの関係性もパートナー型が基本で、案件の多くが数年単位の伴走型プロジェクトも多いです。スピードよりも“信頼関係の中で丁寧に価値を出す”文化が強く、じっくりとクライアントと向き合いたいタイプに向いているファームです。

コンサルティング業務に加え、事業投資やアライアンスの実務も視野に入れてキャリアを築きたい方に向いています。

クニエ(QUNIE)

クニエは、NTTデータグループの100%出資子会社として設立された日系コンサルティングファームです。製造業・流通業を中心に、業務改革領域に特化した堅実な支援スタイルを持っており、地に足のついたコンサルティングを志向する方にとって非常に相性の良いファームです。

クニエの最大の特徴は、“長期案件”に強いことです。親会社であるNTTデータと連携することで、上流の業務改革・要件定義フェーズをクニエが担い、システム開発以降はNTTデータに引き継ぐという分業体制が確立されています。これにより、単発の戦略案件ではなく、業務・ITにまたがる大規模かつ継続的な支援が可能になっています。

社風としては穏やかで、育成や制度面も日系企業らしく非常に手厚いです。たとえば中途入社者には年間200時間を超える研修制度が用意されており、コンサル未経験者でもキャッチアップしやすい環境が整っています。また、大企業並みの福利厚生と10%未満の離職率は、安定的な長期キャリアを築きたい人にとって大きな魅力です。

「実直にクライアントと向き合いたい」「日本的な丁寧な仕事の仕方が合う」「でもしっかりコンサルスキルは伸ばしたい」という方におすすめのファームです。

アビームコンサルティング

アビームコンサルティングは、もともとデロイト トウシュ トーマツの日本法人として設立され、2003年にスピンアウト。現在はNECの完全子会社として、日本発のグローバルコンサルティングファームとして活動しています。アジア市場への強い接点と、IT×業務に強いバランス型の支援体制が特徴です。

業務改革・IT導入・グローバル展開支援など、いわゆる“総合系コンサルティング”のスタンダードなテーマを押さえつつ、日本企業の実情や文化に根ざした現実的なアプローチが得意です。特にNECとの連携を活かしたIT領域での上流支援〜実装への橋渡し力においては、他ファームにはない一体感があります。

また、組織としてダイバーシティ&インクルージョンの推進にも力を入れており、女性活躍やワークライフバランス、働きやすい職場づくりに本気で取り組んでいる点も特筆されます。日系企業らしい安定感と、グローバル志向の両方を持ち合わせたファームであり、「自分らしく働きながら、海外にも関わっていきたい」という方にとっては非常に魅力的な環境です。

日系ファームらしい「育てる文化」と、グローバル展開の機会が両立している点で、日本発・アジア発でキャリアを築いていきたい方にフィットするファームです。

シンクタンク系

シンクタンク系ファームは、銀行や大手企業のグループ会社として設立されたケースが多く、リサーチや政策提言の色を残しながら、近年では戦略・業務・ITの実行支援領域にも積極的に進出しているという特徴があります。

純粋なコンサルファームとは異なり、調査・分析の深さや公的機関とのネットワークを活かした、社会課題に寄り添うコンサルティングを志向する傾向があります。

野村総合研究所(NRI)

NRIは、国内最大規模のシンクタンク系ファームで、ITソリューションと経営コンサルティングの両軸を持つハイブリッド型の組織です。金融業界におけるシステムインテグレーションに強みを持ちつつ、経営戦略やESG、政策提言などの知見を活かした上流支援にも力を入れています。
リサーチ起点の知的アウトプットを武器にしたい方、IT×戦略でキャリアを作りたい方には非常に魅力的な環境です。

三菱UFJリサーチ&コンサルティング(MURC)

三菱UFJフィナンシャル・グループに属し、中堅企業支援・地域創生・人的資本経営支援など、社会性の高いプロジェクトを数多く手がけています。地域金融機関との連携や政策実装支援にも強く、「経済を動かす仕組みそのものに関わりたい」という志向にフィットするファームです。

日本総合研究所(日本総研)

SMBCグループの一員として、スマートシティ構想や地域経済圏の再構築、医療・介護領域での制度設計といった、自治体・官公庁向けのプロジェクトに力を入れています。リサーチと政策設計、そしてその実装支援という一貫した流れに強みがあり、「社会を仕組みごと動かす」ようなコンサルをしたい方には絶好の環境です。

NTTデータ経営研究所

NTTデータの知見を活かし、公共・医療・金融・教育といった制度設計型のテーマに対して、テクノロジーを交えた提言・実装支援を展開しています。AI、ブロックチェーン、マイナンバー制度などに関する国策レベルのプロジェクトも多数。制度×技術に興味がある方にはフィット感の高いファームです。

総じて、シンクタンク系ファームは「知的生産性」「社会的意義」「制度に携わる醍醐味」を感じられる環境です。“社会の構造を変えたい”という中長期視点を持つ方にとって、非常にリアルなキャリアの選択肢です。

コンサルティングファームと一口に言っても、そのカラーや支援スタイル、組織文化は実に多様です。
戦略に特化して思考を極めたいのか、社会全体の仕組みづくりに関わりたいのか、あるいはITやテクノロジーで実装まで携わりたいのか。
そして、どのような人たちと、どんな働き方で成長していきたいのか。
こうした問いに対する答えは、ファームごとの特徴を知ることで、初めて見えてくるものだと思います。

キャリアを選ぶうえで大切なのは、自分自身が「どこでなら、自然体で力を発揮できそうか」を見極めることです。
この記事が、みなさんにとって“自分に合ったファーム”を見つける一歩となり、納得のいく選択につながれば嬉しく思います。

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