【インタビュー】日立製作所からコンサルへ「最終的な決め手はパートナーを目指せるか」

今回は日立製作所から総合系コンサルティングファームに転職し、活躍されている方にお話を伺いました。

日本を代表するSIerに勤めていた中で、なぜ敢えて転職という決断をされたのか、また転職をされて後悔などはないか、などを中心にお話いただきました。

どのような方が会社に残った方が良いのか、また、どのような方が転職が選択肢になりえるのか、そういったお話もお伺いしましたので、今まさに、システムエンジニアの方でキャリアに悩んでいらっしゃる方にとって参考となれば幸いです。

本日はどうぞよろしくお願いいたします。まずは経歴を簡単に教えて下さい。

 新卒で独立系SIerに入社し、5年半ほどアプリケーション設計・開発・保守などの下流工程を経験しました。その後、株式会社日立製作所に転職し、大手メーカー向けに大規模プロジェクトのマネジメントを経験した後、海外赴任でのグローバルプロジェクト従事を経て、帰任後にはSaaSの企画・立ち上げなどに従事しました。15年ほど日立で勤め、現在は総合系のコンサルティングファームに転職しました。

転職を考えはじめたきっかけや理由を教えて下さい。

 SIerでの20年間を通じて一通りの経験を積んだところで、業務内容に新鮮味を感じることがなくなってきました。よく考えると、これは日立に限った問題ではなく業界全体の問題であり、売上重視で仕事をしすぎる余り、従事する仕事がお客様の経営課題解決に必ずしもつながっていないのではないかという疑問が湧いてきました。そこで、これまでの知見を活かしつつ、真の経営課題を解決を支援したい、と考えるようになったのがきっかけです。また、社内の人員構成が逆ピラミッドになっておりスピーディな昇進と昇給が期待できないと考えたことも理由です。

「お客様の経営課題解決に必ずしもつながっていない」と、どのような場面で感じましたか。

 例えば、ERPを導入するプロジェクトでは要件定義通りに実装しようとしても上意下達ですんなりというわけにはいかず、必ず現場から要望があがります。その際、SIerの立場としては、「仕様はこうなっています。」や「この変更には追加で費用をいただく必要があります。」といった回答をせざるを得ないということがあります。
 日立はSIerの中ではプライムな方ですので、要件定義から携われるプロジェクトが多いのですが、そのパッケージ/サービスがお客様業務に合っていないと感じたとしても、RFPありきで仕事をするしかない、というところにもどかしさを感じていました。

最終的にはコンサルティングファームを選択されましたが、他に選択肢はありましたか。

 コンサル以外も、SIerの中でも現職より待遇が良さそうな野村総研やアクセンチュア、それからSalesforceなどの外資系ベンダーもオプションとして見ていました。
 しかし、やはりSIerに転職してもモヤモヤは解消されないでしょうし、外資系ベンダーも自社製品を売ることに終始してしまうだろうと考え、やはり真の経営課題を解決するためにはコンサルティングファームが良いと考えました。

転職活動をはじめようとなったとき、まず最初に何をされましたか。

 今回は2回目の転職でしたし、ある程度自分の希望も分かっていたので、1回目の転職で使ったenミドルに加えて、他サイトとの違いが明確だったビズリーチの2つに絞って登録し、自分なりに情報を調べながら直接応募とリファラル(紹介)で転職活動を進めました。
 エージェントは数年前に大手サイトを一度利用しましたが、求人紹介ばかりという印象が残っていたため、最初は使いませんでした。

はじめはエージェントを使われなかったとのことですが、最終的には選んでいただいたのはどういった事情があったのでしょうか。

 企業研究を行い志望先の絞り込みを行う段階にきたとき、他社と比較して意思決定するために必要な情報が足りないことに気が付きました。
 そこで、コンサル業界に詳しいエージェントの方からお話を伺いたいなと思っていたところ、たまたま奥井さんからビズリーチ上でお声がけ頂いたのでお話を聞くことにしました。
 お会いしてみると私が知りたい情報がパッと具体的に出てきたので、この方なら信頼できそうだと思い、キャリアの相談に乗っていただくようになりました。

転職活動の中で、色々と苦労をされたと思いますが、特に印象に残っていることはありますか。

 1つは職務経歴書の作成です。私のように歴が長いと書こうと思えばいくらでも書けてしまいますし、SIerにいると真面目気質というか、細かいところまで書きたくなってしまいます。その結果、読み手視点が足りていないものが出来上がってしまい、最終的に大幅に修正することになりました。幸いにもコンサルファームに友人が居たので、協力を得ながら修正していきました。
 もう1つは、応募先の絞り込みです。日々の業務もある中でスピーディーに転職活動をするするためには、数を打つというよりは3社ほどに絞って選考を受けたいと考えていましたが、自身の条件軸が定まらず、絞り込みに想像以上に時間がかかりました。

条件軸は多くの方が悩むポイントだと思いますが、どのように定めていったのでしょうか。

 転職活動開始時は、「やりたい仕事ができるか(真に経営課題の解決に携われるか)」「上が詰まっておらず、実力でプロモーションが可能か」という2つの観点で見ていましたが、奥井さんとお話をして、ワークライフバランスやポストコンサルといった観点も加えました。
 友人や奥井さんとの相談を通じて、それらの各軸の重み付けをした上で、各企業の点数付けを行いました。また選考を受けていくうちに、用意した軸では判断できないような魅力がある企業もありました。

最終的には何を決め手に転職先を決めたのでしょうか。

 まず、最も重視していた「やりたい仕事ができるか」については、コンサルティングファームであれば、おおよそは達成できそうということが分かり、「実力でプロモーションが可能か (パートナー昇進の実現性) 」という軸が一番のポイントになりました。
 転職先に決めたファーム、つまり今いるファームでは私と同世代で執行役員として活躍している方がいましたし、実際にそういった方々と話してみると共感できることが多く、自分自身もレベルを上げて彼らと仲間として一緒にやっていきたいという気持ちを持つことができました。
 また、ビジネス的な伸びが他のファームと比べて圧倒的であることも魅力的でした。
 これらはもともと用意していた軸では判断できなかった魅力でしたし、他のファームと比較しづらい部分ではありましたが、最終的にはこういったことが決め手になりました。
 ちなみに、今のファームは当初の候補には入っておらず、軸の整理時に選択肢として奥井さんに提示いただき、選考を受けることにしました。最初は正直、志望度は高くなかったのですが、今はこういう結果になっており、第三者視点の大事さを痛感しています。

ー転職活動を振り返ってみて、率直な感想をお聞かせください。

 転職活動の中で、さまざまな会社の方と話をすることで業界全体の動きを知ることができました。転職活動前は、コンサルというと戦略や業務というイメージでしたが、日立の得意領域であるERPなどのSIer領域に想像以上に踏み込んできていることを実感しました。例えば、前職で「最近はERPの案件が取れないなぁ」という話が出ていたのですが、実はコンサルティングファームがRFPが出てくる前の段階で勝負をつけていたということも分りました。
 また、自身の市場価値も転職活動をしなければ気がつけなかったことです。転職活動をする前は、プラス200~300万円の年収が妥当だろうと思っていましたが、実際はどのファームからもそれよりも1段階高い年収でオファーを頂きました。
 自身の価値になるポイントについても、当初はグローバルプロジェクトの経験が評価されると思っていましたが、実際に面接をすると、それよりも大規模プロジェクトのマネジメント経験について深堀りいただくことが多かったということも意外でした。
 このように業界や自身について外から見られたことは、今後のキャリアプランを考える上で大変よい機会になったと思っています。

ご自身は転職という決断をされましたが、逆に日立でキャリアを積み続けたほうが良いタイプの方はどういった方でしょうか。

 自分のやりたいことと会社、所属組織の方針が一致しており、日立で働き続けることで自分と会社が共に成長していけると感じるような方は日立でキャリアを積み上げていくのが良いと思います。
 また、外に出るという志向の方でも、まずはどのようなキャリアを歩みたいかを考え、そのために必要なスキルを洗い出し、そのスキルが得られる経験を積んでいくと良いと思います。ただし、私の部署のように仕事へのアサインが場当たり的な環境な場合は、しっかりアピールをして、入りたいプロジェクトに入っていく必要があります。
 私の場合は、要件定義〜開発を埋めていくようにキャリアを積んでいきましたが、途中で更に上流の領域の経験も積む必要を感じ、転職に至りました。

SIerの経験はコンサル業界でどのように活きそうですか。また、逆にSIer出身者がコンサル業界を目指して転職活動をする上での注意点があれば教えて下さい。 

 まず、ITプロジェクトの実行支援の経験は面接でもよく聞かれたので、実際の業務でも経験が活かせることが予想されますし、その他、システム化構想、計画策定支援についてもこれまでの経験が活きてくると思います。
 SIer出身者がコンサル業界を目指す上での注意点としては、私もそうだったのですが、歴が長い人は特に職務経歴書が大変長くなりがちですので、読み手目線になって、強弱をつけたり、箇条書きなども使ったりして、なるだけ端的にまとめることが必要です。また、面接でも同じように、自分がアピールしたい所をアピールするのではなく、面接官の方に刺さる内容をアピールすることが大切だと思います。

相手目線になるために心がけていたことはありますか。

 面接の前に、採用要件などから、その会社が自分をどのように活用するのかを仮説を立ててから臨むようにしていました。自分が自信のある経験であっても、相手が求めていないことであれば、思い切って言わないでおく、ということも大切だと思います。
 採用要件が詳しくないところは、オープンワークなどの口コミサイトを見て、仕事内容を把握するようにしました。特に、ネガティブな口コミはその方の素が出る分、実情もわかりやすいため重宝しました。ただ、ネガティブな意見を見ると意向は下がることもあり、そういうときは自分の会社の口コミを見ました。私は前職に対してそこまでネガティブではありませんでしたが、口コミでは相当酷い言われようだったので、口コミサイトはそういうものなんだなと割り切ることができました。また、悪い実態も含めて知った上で選択したいと思ったため、そういう意味でもネガティブな口コミは見るようにしていました。

最後に、今後どのようにご自身のキャリアを築いていきたいか、教えてください。

 まずはコンサル業界の仕事のやり方に慣れ、自分の経験を活かしたパフォーマンスを最大限発揮し、社内での立ち位置を確立したいと思っています。産業流通領域は今までの経験が活かせるため、これを軸足にしつつ、ブロックチェーンなどを活用したクロスインダストリーや新技術のプロジェクトに積極的に参画したいと思っています。また、IT領域のみならず、業務・戦略領域にも興味がありますので、そちらもチャンスがあれば経験をしたいです。
 中期的には、複数のクライアントととの良好なリレーションを確立し、パートナー職への昇格を目指したいと思います。その先では、事業会社でDX推進を牽引する役割としてのCIOや他ファームでもパートナー職を務められるようにスキルアップと経験を積んでいけるといいなと思います。

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